ロシアのホテルにて、いつもは神経質でホテルではよく眠れない私が、我家にいるように落ち着いて、やすらいだのです。床も木で全てが木のぬくもりに包まれ、快適でした。そして、ドストエフスキー博物館に行った時、ドストエフスキーの書斎も、私が表現する「文学の香り」がしました。私は、この香りに包まれると、遠い昔から生きてきた人間の歴史を感じ、何とも言えない不思議な感覚が生まれるのです。言葉に表せなくて、香りと表現しています。博物館の館長さんのお部屋も文学の香りがしました。外は吹雪でも、木のぬくもりに包まれた部屋は、あたたかく、尊い人生の一日一日の重みを感じ、色々なことが思い浮かび、色々なことを、創造していけるときめきが生まれます。その時、思い出したことは、19年か20年前の事ですが、スペインに行く途中で、アンカレッジにてトランジットした時のことです。当時ソ連は、恐い印象がありました。空港内も薄暗くて、私は恐る恐る歩いたものです。ある一室に通された時、木のぬくもりに包まれて、ほっとしロシアンティーを飲みながら、色々な事を思いめぐらし、色々なことを考え、楽しかったことを思い出したのです。ロシアの建物は、とても大きくて、天井も高く広々としています。ホテルの部屋も広々とし気持ちがゆったりとしました。私は、日本に帰ったら、「文学の香り」のする部屋をつくろうと決めたのです。今回の旅は、パリにも行き、文学者が集まる街を歩きました。が、何故か私はロシアの文学の香りに包まれると、創造的になれるのです。パリに行き、「やっぱりロシアの文学の香りの部屋をつくろう」と、一人心の中で口ずさんでいたのでした。
日本へ帰り、早速模様替えをしました。私は、毎日楽しくて、部屋に入る度、喜びの声を上げています。私は一人「ロシアの文学の香り」の部屋と名付けています。今まであった家具も一つ一つが存在をあらわし、活き活きとしているのです。今まで申し訳なかったとつくづく感じました。「ロシアの文学の香り」のときめきが、今後どの様に育っていくのでしょうか。この事もときめきます。
ロシアの文学の香りの部屋にて。