KEIKO KOMA

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更新日 2010-01-09 | 作成日 2008-03-30

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「麗花」のDVDに映るいくつかの映像は、私が撮影しています。
ある年の春、私は突然、高校時代に友達と行った太海の菜の花畑を思い出しました。早春の香りが蘇り、心がうきうきとしてきました。そうだ、今日は太海に行こうと買ったばかりのゲレンデに乗り、克哲くん、笑美ちゃん、愛ちゃんを誘い出発しました。私はとめどもなく、あの時の事を話しはじめました。私たちの遊びは、詩を書き、発表し合うことでした。旅先で夜になると、カレンダーの裏に一人一人いくつもの詩を書き、白い所がなくなるまで書き、全部うまったら発表し合うのです。詩を書くことが好きな私にとっては楽しい遊びでした。苦手な友達は、困りながらも、詩を書かないと私といられないと言い、渋々書いていた表情までもが思い出され笑って話していると、克哲くん、笑美ちゃん、愛ちゃんは口をそろえて「ステキな青春時代ですね」と言ったのです。私は「ステキ?」と聞き直すと「ステキです」と再び口を合せて言ってくれるのです。とってもうれしく、心がときめいてくるのです。学生であり、お金がないので、一番安い宿を探し、あまりに汚くて、とても眠れないので夜通し詩会をしていたのです。

あの懐かしい菜の花畑が見たくて太海に向かったのですが、途中急遽気が変わり、横浜、鎌倉と行きました。ちょうど色とりどりの花々が咲き、何故かしゃくやくも咲いていました。そして由比ヶ浜の海辺におり、夕陽が沈む海を眺めました。鎌倉も何度歩いたことでしょう。紫陽花の頃のあじさい寺、銭洗弁天、数々の寺、山の中を歩いたり、浜辺でずっと友達と夜まで話したこともありました。高校時代最後の日、3月31日は鎌倉の海と共にさようならをしました。そんなことが思い出され、「麗花」の作品づくりは、はじまりました。そんな過ぎ去った日々の事が、今に蘇えり、多くの人と青春の日々のときめき、苦しみ、悲しみ、未来への夢、恋、愛を共にし、未来のある何かに向かえるなんて、とっても楽しいです。

あの時感じた香り、光景が今蘇えり新しい未来に向かっているのです。

人生の一瞬一瞬は、決して虚しく過ぎ去った訳でもなく、無駄でもなく、今に在り、その香りは未来まで広がっているのです。ステキですネ。